図書室の海

本好きの感想ブログ

あなたの恋人、強奪します。- 泥棒猫ヒナコの事件簿

泥棒猫ヒナコの事件簿
永嶋恵美 著

表紙デザインや挿絵は大事。作品の印象を決めかねないくらい大事。(本当に大事なので2回言う)
なのに!! 装丁は新装版、改訂版と銘打って変更されるときがある。前出の『十二国記』も講談社文庫で読者層を大人へ対象としたときに挿絵が全部なくなった。味気ない表紙だった。

より良く変わるんならいいんだが、大抵期待を超えずに終わる。
この『泥棒猫ヒナコの事件簿』シリーズもそう。特にヒナコさん。残念でならない。
そしてさらに残念なことに徳間書店さんのこの作品は「版元ドットコム」にも書影がない。なので小さいけど商品リンク画像で。トップ画像が初版のもの、下の画像が新装版。

相手でなく、自分の恋人を強奪…?

何がきっかけだったのか忘れたけど、何気なく手にとって読んだ。たぶん、表紙の絵とタイトルのインパクトかな。

暴力をふるうようになった恋人と別れたい(「泥棒猫貸します」)。人のものを何でも欲しがる女ともだちに取られた恋人、二人を別れさせたい(「九官鳥にご用心」)。さまざまな状況で、つらい目にあっている女たちの目に飛び込んできた「あなたの恋人、友達のカレシ、強奪して差し上げます」という怪しげな広告。依頼され、男たちを強奪していく“泥棒猫”こと皆実雛子の妙技と活躍を描く六篇の連作ミステリ。

そして第1作目を読んだ時の爽快感、読後感のよさ。
持ち込まれる男女トラブルを「どうやって解決するんだろう」と興味津々。切れ味鋭くヒナコさんが立ち回る小気味よさ。
なろう用語で言う「ざまぁ*1」とまではいかないものの、懲らしめられたりするのでスッキリとしていて後味の悪さがないのかも。

ポイントは「"あなたの"恋人を強奪」ってこと。依頼主の恋人を強奪するんだよね。恋敵の恋人を奪い取ってもらうわけではないのが面白いところ。

「ヒナコさん、そこまでするのか…」って思うところもあるが、この辺はヒナコさんのバックグラウンドにも関わりそうでもある。(ちなみに、最新作でもそこは明かされていない)

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男女関係は普遍…

1作目の奥付をみると、連載していたのが2005〜2006年頃(文庫化が2010年)。もうだいぶ時間が経っているにもかかわらず、全然古さを感じない。
時代が変わろうと、技術が進化し情報が溢れようと、人のやってることはそうそう変わらないらしい。

短編エピソードの集まりだけど、色々なバリエーションで飽きさせず一気読み。面白い。これドラマ化したら面白いと思うんだけどなー。22時台くらいの連ドラ。
新装版みたいなイメージじゃなくて、旧版のようなちょっとスタイリッシュで大人なキャスティングで観たい。

〜今日のひとこと。
「ドラマでみたい」

tamamushi-library.hatenablog.jp

*1:ざまぁ:小説家になろう用語。因果応報。目には目を、歯には歯を。時にそれ以上のものが返ってくる(あるいは返す)のがなろう。語源は「ざまぁみろ」と思われる。