ついに来ましたね!続刊が! 6巻の発売と同時にこのブログの5巻の記事のアクセスが急激に増えて最初は何事!?と。嬉しい限りです。
さて、ひととおり読んだので感想を書いていきますが、内容にふれているので未読の方はご注意ください。
動き始めたウィステリアの時間
ウィステリアの時間が動き出す。身体の時間も動き始めると同時に、新しい環境での生活も始まった。様々な人との関わりが増えて、周りが見えはじめてきたように思える。
異界へ行く前は家族とブライトが中心で、ベンジャミンでさえ目的のために協力しあっている同僚にしかすぎなかったし、異界に行った後は聖剣と魔物のみで人でさえない。そこへロイドという第三者が入り込んだぐらい。
他者がどう感じて何を考えているのか、新たな人間関係のなかで少しずつ気づき、視野が広がりはじめる。
なぜ以前はそれができなかったのかというと、ブライトしか見えていなかったからなんだろうね。ブライトの隣に立つために魔力の研究をし、彼の役に立ちたい思った。それだけだった。
ブライトという目標を失い、失意のまま異界へ渡り、そこでは生きるだけで精一杯。それでも生き抜くという最大にして選択の余地のない目標があった。そして、再び人間の世界に戻ってきた時、何をどうすればいいのか、自分に何ができるのかと周りをみて考えることが必然的に増えてくる。イレーネ(ウィステリア)としての新たなスタートを切ったように思う。
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ロイドの決意、そして前途多難の気配
そしてロイドも動き始める。こちらは主に行動で。こうと決めたらブレないし手段を選ばないのはリュクス家の血筋か。ただブライトと違うのは家(公爵家)をもあっさり捨てそうであるということ。
王女を含む王家(特に王太子)とも一筋縄ではいかなそうで楽しくなってきた笑。王女は女の直感ともいうべきかロイドの変化の理由に気づいたよね、これ。
ロイドの人間関係にウィステリアが否応なしに巻き込まれていきそうな予感がする(ロイドと因縁のあるやつがウィステリアの弟子になってるし。仲良く兄弟弟子になる、わけがない)。
父子の確執
この6巻で思ったより根が深いなと思ったのは、ロイドとブライトとの確執。お互いコンプレックスを抱えててある意味似た者親子。いや、見た目そっくりでそれが根底にあるがゆえに面倒なことになってるんだけども。特に女性関係まで絡んでいたとはね… これはまずい。ロイドがウィステリアとブライトの関係を知った時、この父子の関係はどうなるのか。
単なるコンプレックスというだけなら、周りの声を気にせず一個人として相手を認め互いに吹っ切ることもできただろうけど、ウィステリアという要素が入るともうダメだ、がんじがらめ。
ロイドにとっては、自分の父がウィステリアを母の身代わりに死地に追いやったというだけでなく、彼女を奪われるという事態が起こりうる。ウィステリアが想い続けていたのをロイドは知っているわけだからね。彼女が「自分を通して父をみている」という考えから抜け出せるかどうか。
ブライトにしても、ウィステリアと息子との関係を知ったとき何を思うのか。彼女を切り捨てて家と自分の幸せを得た。自分がかつて言った言葉「どうしても欲しいものがある。」今度はそう言われて自分と公爵家が切り捨てられるのだ。あぁ〜今後が楽しみすぎる笑。
まだ全体像は見えないけれど、人間社会における異界の意味も徐々に見え始めてきた。ベンジャミン、がんばれ。
色々な人間の思惑が入り乱れ、物語は多方向に動き始め、絡み合う。うう、次は年末?来年?
〜今日のひとこと。
「待ってる」とか「どこにも行かない」はフラグ…