図書室の海

本好きの感想ブログ

恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。5巻 - Web連載 なろうの続き

小説家になろうで連載されていて、リアルタイムで追って読んでいた作品。Webに無料掲載されていた部分以降ということで電子版を購入。終わり方が気になっていたので続きを読むことができて嬉しい!と最初にお伝えしたい。

※2023年12月現在、こちらの出版社さんのこの作品は版元ドットコムへ版権フリーの画像を提供していないので、ASPの商品画像を載せています。

作品タイトルのイメージとのズレ

なろう小説を読んでいるとよくあること。それは、タイトルから想像するストーリーと、実際のストーリーとにズレがあること。タイトルがすごく軽い感じなのに内容は普通にシリアスだったり。この作品もそれに該当すると思う。

連載の最初(第一部)のところ、書籍で言えば1巻にあたる部分。ウィステリアが恋した相手(ブライト)に切り捨てられ、異界の地へと送られる。そしてそこにあらわれる、かつて恋した相手そっくりのロイド。落ちた男。

ここまではタイトル通りで展開もなろう的にスピーディ。なろう小説に慣れている読者なら、ここからはロイドがウィステリアとブライトの関係を知り、元の世界に戻り、ブライトや妹(ロザリー)との対決を予想する。

しかしそうはならず、ここから一気に展開がゆっくりになる。2~4巻を使って異界での生活と戦闘。4巻の終わりでようやく元の世界に戻り5巻で一気にくるか!?と思いきや、ほぼほぼ一つの屋敷から動かないままだった。

切り捨てられてから二十年経ってロイドが登場し、細やかな心理と状況変化を時間をかけて追っていく内容から見れば、1巻目はプロローグ(序章)とも言える。

ここであらためてタイトルをみてみよう。「恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。-妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら」プロローグ分がタイトルになってるね。
1巻目だけならこのタイトルでいいけど、作品全体のイメージからは、なろう的タイトルじゃなくて昔ながらのラノベタイトルの方がしっくりくる感じ。

突っ込んだことを言うと、実際に「死んでくれ」とは言ってなくて、言ったも同じだよねってところ。なろうには本当に「死んでくれ」とか言ったり、元婚約者が擦り寄ってくる展開の作品がいっぱいあるからね。タイトルだけだとそんな想像もありうる。
タイトルって大事だよね。管理人もいつも記事タイトルで悩んで…

> 恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。―妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら―【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 - 新文芸・ブックス 永野水貴/とよた瑣織(TOブックスノベル):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

> 恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。―妹と結婚した片思い相手がなぜ今さら私のもとに?と思ったら―【電子書籍限定書き下ろしSS付き】 | 永野水貴/とよた瑣織 | 無料漫画(マンガ)ならコミックシーモア

進むのが遅いと感じる理由

読者感想などを読むと「話が進まない」と感じる読者がかなりいるよう。それにWeb連載していると色々あるのでしょう。ストーリーの4巻目まではなろうに定期的にアップされてたものの、或る日突然全て削除された経緯がある。

その当時のコメントを読んだかぎりでは、読者に色々言われて作者さんがキレちゃった感じ。なろうに載せてても一銭にもならないし!って笑。そりゃそうだ。ある程度読者のついてる方なら無料連載は必要ないのかもね。(個人的には書籍化後もWeb連載を掲載しておくことにメリットはあると思うんだけど、それはまた別の機会に。)

1巻目とそれからの進展速度に落差があるため、なろう的展開を期待してると非常に遅く感じる。
5巻では序章あたりの回想も少し入っていて補足されてはいたけど、ウィステリアが切り捨てられてから異界に向かうまで、異界についてからの密度を調整しておけば、もう少し最初からテンポが揃っていたかなとは思う。
特になろうでの連載だと、第一部をタイトルのイメージ通りにポンポン進んでいたのが、二部に入って急に展開が遅くなるので余計にそう感じてしまう。

作者さんも言及していたけど、たしかに単話連載向きじゃない作品ではある。一話ずつ一週間や二週間おきに読む場合、微妙な気持ちの変化があったとしても、「あれ?このやりとり前にもなかったっけ?」「似たような戦闘が続くな…」となってしまう。それが続くと「同じことの繰り返しで、ちっとも話が進まない…」という印象が強く残ってしまう。

あとはまあ、管理人もいい歳なので、いくら人外(剣と魔物)としか接触がなかっとはいえ、同じ場所でいつまでも思考がぐるぐる回ってるウィステリアには、二十も歳とってるのにピュアすぎだろ!ってツッコミは入れてました。見た目二十代でもこんな四十代いてたまるか!笑。ライトノベルだからと言われればそれまでだけれども。

ダブルヒーロー

管理人の年齢のせいか、はたまた小説の好みの問題なのか…個人的にはブライトとロザリーをはじめとする大人組に注目している。ネット上の感想等では非常に不評のブライトだけれど、実はロイドよりも気になっている。管理人的には最初からヒーロー的位置はブライトだった。少数派であることは間違いない。

5巻では同僚のベンジャミンを掘り下げていているし、養父母の現在も確認できた。王女とかはどうでもよかったりする笑。今後、記憶を喪失しているロザリー、罪悪感なのか憐憫なのか好意なのか嫉妬なのか、色々複雑なものを抱えてそうなブライト、ウィステリア(もっと大人になってくれ)との心理戦が見たい。続きはまだかな!?(出たばっかり)

〜今日のひとこと。
「タイトルは難しい…」