図書室の海

本好きの感想ブログ

私となろう小説の出会いは洗剤だった件

洗剤と魔女『緑の雫』

ーーとある日、私は噂で良いと聞いた「緑の魔女」というランドリー洗剤を調べていた。あるネットショップで検索をかけたとき、洗剤と一緒に出てきたのが『緑の雫』という本。「緑」「魔女」のワードでヒットしたようだった。

緑の雫  あひる

緑の雫 (一迅社)2015年 著:あひる

異世界に突然放り出され「魔女」に拾われた、元エステティシャンのアンナ。植物の成長を促し、効果を高める能力を持つ「緑の魔女」として、静かに生活する日々。しかし次第に、人々に健康と美を与える魔女の名は、貴族や領主の元にも届いて-アンナの運命と恋が動き始める。魔法と癒しのスローライフ・ラブファンタジー。

表紙の絵が綺麗だったし、あらすじもちょっと気になる感じだったので、洗剤と一緒にお買い上げした。なんだかネットショップにいいように転がされている気がしないでもなかったがまあいいや。予備知識なしに買って読んだ。
ライトノベルのようなロマンス小説のような。その時はなろう小説など読んだことがなく、昔のライトノベルのイメージしかなかったので、ちょっと引っかかる部分もありつつも面白くて一気読みした。

今でこそ、web小説が見切り発車の連載中であろうが出版されていて、続きが出ないことがざらにあると知っているが、当時はこの1巻で終わらないとはわからず、慌てて2巻目を買うことになったのは仕方がない。幸いだったのはこの2冊できちんと完結していたこと。

> 緑の雫 | あひる/yos | 無料漫画(マンガ)ならコミックシーモア

無料小説との再会

この本が元はwebで連載していた無料小説であったことを知り、「小説家になろう(ムーンライト)」という存在を知ることになるのだった。
「タダでこんな小説が読めるのか!」と、そこからむさぼり読む日々が始まる。

『恋空』などで覚えている方もいるかもしれない一昔前のケータイ小説。
絶望的に合わなかったこともあり、以後オンライン系の小説は敬遠していたため、どんな作品があるのかも全然知らなかった私には目から鱗である。
まずはその作者さんの別作品を読む。それから作品ページの下部にあるレコメンド「ほかにこんな作品を読んでます」を辿って延々と続く。

その世界はまさしく玉石混交。読むに耐えない作品もあるが、眠らずに読み続け睡眠不足になるような作品もある。大当たりしたときの嬉しさ。小説を読む醍醐味でもあり、楽しくて読むのをやめられない笑。

緑の雫 2 (一迅社)2015年 著:あひる

行って帰らない物語

今はもうなろう小説の独特さに慣れたけど、最初知らない世界に突然来て言葉も通じないのに、普通に暮らしているところから始まっているのに驚いた。こちらに来る過程とか来た後の苦労とかがほぼほぼ端折ってある。

それまでに読んだ現実世界→別世界といえば「行きて帰りし物語」がほとんど。要するに別の世界に行って成長して帰ってくる。現実世界での問題を成長することで乗り越えていく。という前向きなストーリー。
有名どころでは、エンデの『はてしない物語』、ルイスの『ナルニア国物語』。ジブリ映画の『千と千尋の神隠し』も入れていいと思う。

でも、なろう小説は「行きて帰らず」の物語が多い。生きていた現実をあっさりと切り離す。事故で死んだり、ブラック企業で働いて過労死したり、身内や学校会社などの人間関係が希薄だったりする。
現実から逃避して生きやすい世界でやり直すのが基本。なんなら生まれ変わって最初からやり直してる。今はそういうもんだと思って読んでるけど、最初はびっくりした。

タイトルは説明書き

なろう小説のタイトル。なんでこんなに説明文調なんだ。昔の作品には『緑の雫』みたいな普通のタイトルが結構あるけど、今は圧倒的に少ない。
最初はインンパクトがあったんだろうけど、これだけ氾濫するとどれもこれも似てて区別がつかない。絶対本屋で探せないやつ。もう逆に普通のタイトルの方が新鮮だったりしない?

こんな風にタイトルをつけた理由。考えてみれば、web小説という形態が影響してるんではないかと思う。
ブログなんぞをやっているとgoogleサーチ、要は検索順位が大きな影響を持ってることは身にしみてわかる。目にふれなければ読まれないんである。
楽天市場なんかでも商品名にキーワードが羅列してあってめちゃくちゃ判別しにくいことがある。そういうのと一緒で、探す人がどんなキーワードで検索するか、一目でどんな内容なのかわかるようにタイトルに詰め込んだ結果なんじゃないかと。

他にもかつての文庫ライトノベルとの違いは色々書きたいけど、長くなってしまうのでそれはまた別の機会にしようと思う。(ここまでも結構長いね笑。)

〜今日のひとこと。
「覚えやすいタイトル…」

tamamushi-library.hatenablog.jp